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2007/06/10

ケーナ奏法研究 -Vol.4 基本練習法-

4回目ではケーナの基礎練習法を紹介します。

ケーナを練習するに当たって重要なポイントが4つあります。
それは指・息・舌・唇の4つです。

ここでは、ポイントを分けて基礎練習法を紹介したいと思います。

1.指使い・運指
まずはケーナの指使いを覚えなくては色々な音が出せません。
運指表を見ながら一音一音しっかり出せるようにしていきます。

運指表についてはこちらが参考になります。

最初のうちは3オクターブ目の音は出しづらいのですが、強く鋭く息を吹き込むと比較的出しやすいです。
ある程度の運指が出来るようになったら、次に違う音を続けて出す練習をします。

1オクターブ目の「ミ」から初めて、1音ずつ上げていったり下げていったりしてみましょう。
初めはゆっくりのスピードで、慣れてきたら徐々にスピードを上げてやってみてください。

最初は先の運指表に載っている音を練習してればいいのですが、曲の調によっては半音を使う曲があります。ある程度全音の指使いが分かってきたら、半音の指使いも練習するようにしましょう。

半音の出し方の基本は全音での押さえ方で、一番下の穴を半分開けることで半音になります。
(ドの押さえ方で、一番下の穴を半分開ける→ド#になる。)

ある程度ケーナを吹ける方はスケール練習も効果的です。

2.息使い・呼吸法
ケーナを吹くにあたって、息づかいは最も重要な要素の一つです。
息の使い方一つでいろいろな表現が出来るようになります。

息使いの基本的な練習法としては『ロングトーン』をやります。

一つの音を出来る限り長い間出し続けます。
最初はほんの数秒しか音が出ないと思いますが、最終的には10~15秒くらい音が伸ばせるようになるといいでしょう。

ケーナを吹くときは『腹式呼吸』で呼吸をします。
お腹の力をなるべく一定にすると、ピッチの変化が少なく綺麗に音が伸ばせるようになっていきます。

ロングトーンは曲を吹く中で極力ブレス(息継ぎ)をしないようにするためにする練習法です。
一つのメロディーの途中で息継ぎをしてしまうと聞き苦しくなったりしますし、長く伸ばすところで息が途切れたりしたらちょっとかっこ悪いですからね。

ロングトーンの練習をするときは、なるべくチューナーを見ながらやることをオススメします。
ロングトーンは息を長持ちさせるためだけではなく、ピッチを一定に保つ訓練も兼ねています。

フォルクローレは基本的に合奏のスタイルを取るものですから、他の楽器とのチューニングをあわせなくてはなりません。
ケーナやサンポーニャといったフォルクローレの管楽器は、吹き方によってピッチが容易に変わってしまうので、どんな吹き方をしても常に正確なピッチで演奏できるようにする必要があります。

3.舌使い(タンギング)
これも息使いと同じく重要です。タンギングすることで音の立ち上がりを良くしたり、曲中の雰囲気やメリハリをつけたりすることができます。

リコーダーをやったことがある人は分かると思いますが「トゥー、トゥー」という感じでやります。
これも初めのうちはゆっくりと、徐々にスピードを上げていくといいでしょう。

具体的には、4拍子で四分音符→八分音符→十六分音符(各一小節づつ)という感じでだんだん細かく音を切るように練習します。

4拍子だけではなく、3拍子でも同様の練習をするといいでしょう。リズムがとりづらい人はメトロノームを利用してみてください。


4.唇
ケーナ基礎編《①》で書いたように、唇の形をちゃんとした形にしなくては音が鳴りません。初めのうちは鏡で唇を見ながらちゃんとした形をつくるようにしましょう。

特に、唇に力が入りすぎていないかどうかチェックしながら練習しましょう。無駄な力が入っていると、頬の辺りが引きつられ痛くなるときがあります。

ケーナは基本的に吹けば吹くほど音が変わっていく楽器です。長い期間吹き込むほどいい音を出してくれるようになります。その理由の一つに、ケーナの吹き口に合った唇の形が徐々に分かってくるからです。
なので、ケーナをとっかえひっかえして練習すると、唇の形が一つに定まらないのでいい音を出しづらくなってしまいます。


曲の練習に入る前に
ある程度の基礎が出来たら曲の練習に入りましょう。
ケーナの曲はたくさんありますので、自分でいろいろと曲を探してみましょう。

曲を練習する時は、最初は少し遅めのテンポで練習しましょう。
最初から速いテンポで練習すると、音がしっかりと出ていなかったり、どこの部分がちゃんと出来ていないか自分で認識できなかったりします。

曲の途中でつまずくところが出てきたら、その部分だけを何十回も繰り返し練習しましょう。そのうちスムーズに出来るようになるはずです。

また、普段から基礎練習をしっかりしておくということも大事です。基本的な練習は地味な部分が多いですが、しっかりとやることで上達が早くなります。

ある程度曲が吹けるようになると、「曲を吹く」ということばかりに目がいってしまいがちです。
基礎的な練習を怠ってしまうと、あるところで壁に当たってしまうことがよくあります。
そのときは、「基本を見直す」ということが大事になるでしょう。

2007/06/09

ケーナ奏法研究 -Vol.3 基礎編《3》ケーナを吹くときの姿勢-

つづいて3回目はケーナを吹くときの姿勢についてです。

ケーナを吹くときは、背筋を伸ばし正面を向く姿勢を保つように心がけましょう。
立って吹くときも、座って吹くときも姿勢に関しては一緒です。

歌を歌う時も同じですが、姿勢が悪いと上手く息(声)を出すことが出来ません。
姿勢を正しく保った状態でケーナを構え、ケーナと自分の体との角度を大体45度になるようにします。

この状態でケーナを吹くようにすると良いでしょう。
もし音が出にくいようであればケーナの角度を微調整して、音を出しやすい角度を見つけ出してください。

ただし、角度を低くする(立てる)とピッチ(音程)が上がり、逆に角度を大きくする(寝かせる)とピッチが下がってしまいます。あまりに極端な角度にならないように注意してください。

2007/06/08

ケーナ奏法研究 -Vol.2 基礎編《2》ケーナの持ち方-

今回の記事はケーナの持ち方です。

ケーナの持ち方には、一般に『ボリビアスタイル(3・3)』と『アルゼンチンスタイル(2・4)』の二つのパターンがあります。(これ以外の持ち方をしている人は見たことがありません。)
どちらの持ち方にもメリット・デメリットがありますが、どちらでもあまり変わりはありません。

基本は、無駄な力をいれず軽く穴を押さえること。穴は指の腹の部分で押さえます。
しかし、ケーナの管が太かったり、指穴が大きかったりする場合は、女性や手の小さい人は、ちゃんと穴をふさぐことができない場合があります。
その場合は、押さえる部分を指の腹ではなく、第一関節のあたりで押さえるといいでしょう。

特にボリビア製ケーナは管が太く、指穴も大きい傾向があるので、関節辺りで押さえる方法は効果的です。


次に各スタイルでの持ち方を紹介しています。
一応右利きの人向けに書いています。左利きの人は手を逆にするとやりやすいと思います。

ボリビアスタイル(3・3)

左手の親指で裏穴、人差し指・中指・薬指で上三つの穴を押さえます。
小指は薬指の隣に軽く添えるか、裏側にまわします。

右手の人差し指・中指・薬指で残りの穴を押さえます。親指は裏側にまわします。
とここまで書いて、実はリコーダーとまったく同じ押さえ方だったりします。

ケーナは唇と右手親指で主に支えます。

アルゼンチンスタイル(2・4)

左手の親指で裏穴、人差し指・中指で上の二つの穴を押さえ、右手の三本で一番下の穴以外を押さえます。
一番下の穴は右手の小指で押さえます。

ケーナは、唇と左手薬指・右手親指の3点で支える事になります。

二つの方法の違い

ボリビアスタイルの特徴は最低音の「ソ」や「ソ」、四倍音の「ド」の運指を押さえやすいというメリットがあります。
右利きの場合は左の薬指の反応がやや遅いという事がデメリットと言えますが、練習すれば解消することができます。

ボリビアの曲はいろいろな音域・調性で演奏されるので、半音や高音域の音をスムーズに出せる必要があります。そのため、全ての音を出せるような運指になっています。


アルゼンチンスタイルではボリビアスタイルに比べ、左薬指を使わないので薬指の動きの遅さをカバーすることがメリットと言えます。しかし、一番下の穴を主に小指で押さえるために、最低音の「ソ」・「ソ」、四倍音の「ド」などが押さえづらいことがデメリットといえるでしょう。

人によってはこのデメリットをカバーするため、演奏中これらの音を出す際にボリビアスタイル(3・3)にスイッチする演奏者もいます(Raul Olarteが有名)。

どちらのスタイルにもデメリットがありますが、練習や方法を工夫することによってそれをカバーすることができます。

なので、どちらのスタイルが良い・優れているということは一括りに言うことはできません。

自分のやりやすいスタイルを選ぶ。

これが一番です。

2007/06/07

ケーナ奏法研究 -Vol.1 基礎編《1》 音の出し方-

ケーナの奏法をいくつかに分けて紹介していきたいと思います。

目的としては、初めてでもだんだんステップアップしながら上達できるように、記事を書いていこうかと思います。画像等で視覚的に分かりやすくしていこうと考えていますが、今のところは文章だけです。

分かりづらかったら申し訳ありません。。。

初回の記事となる今回は、ケーナの音の出し方を書いていきたいと思います。

ケーナにはリコーダーのようにエアリードがありません。なので、自分の唇でリードを作らなくてはなりません。フルートなどの楽器をやったことがある人、原理は同じなので分かりやすいと思います。

まず口を左右に均等に引っ張り、下唇の真ん中をケーナの吹き口に当ててややあごを前に出して、息を薄っぺらい感じで出します。

このとき上唇が吹き口にかぶさってしまっていると、上手く音が出ません。またあごが出すぎていてもいい音がなりません。

このような唇の形になります。

「うにぃ~」と笑ったときの唇の形が近いでしょう。

最初はなかなか吹けないかもしれませんが、鏡を見ながら唇の形をいろいろ変えてみて吹きやすい形を見つけてください。

私もちゃんと音が鳴るまでに、3~4日かかった記憶があります。
コツをつかんでしまうとすぐに吹けるようになります。じっくりと音を出せるように頑張ってください。

次の記事では、ケーナの持ち方について書いていきます。